──チェックペンは有効か?
暗記ペンというものがある。教科書の重要語句に赤色でマーキングして、緑色の透明シートを上から被せるとその重要語句が黒くなって見えなくなる、というもの。
緑色や青色でマーキングして、赤色の透明シートを被せるタイプのものもある。
ゼブラから出ている「チェックペン」がその代表といっても良いだろう。
私の少年時代にそんな便利なものはなく、教科書の重要語句をまずノートに写し、2Bの鉛筆で教科書の用語を黒く塗り潰す。
そして黒く塗り潰された教科書を読みながら、ノートに書き写した用語をしおりで隠して覚えていく、という方法をとっていた。
手間はかかったが、この方法で定期テストは何とか乗り切ってきた。特に地理や歴史といった社会科で、その効果は最大限に発揮された。
社会を筆頭に、理科でもこの方法は有効だったが、数学や英語、国語では、あまり役に立ったという記憶がない。
暗記系の科目では有効だが、論理的思考力を必要とする教科には不向きなのだろう。そういう教科では、問題演習の方が効果的だった。
──各分野のイメージ
社会科の教科書の場合、チェックペンで塗り潰したところはある程度の正答率を出すことができる。できなかった用語の左上にレ点を付けておけば、視覚的にも判断が可能だ。
それでは宅建のテキストはどうだろうか?
以前に私は、Twitterに次のようなツイートをしたことがある。
半分くらい遊び感覚でツイートしたものだが、タイプの異なるものを無理やり英数国理社に当てはめるとこんな感じになる。
ただ業法=社会だからといって、テキストの業法分野にチェックペンを使用しても効果は少ない気がする。社会と違って、ダイレクトに用語を答えさせる設問が皆無だからだ。
時間をかければかけるほど実力が向上するという意味で、業法=社会になるのだと。もちろん暗記的要素が強いといった側面もある。
近年の宅建テキストはカラフルなものが多く、かえってチェックペンは塗りにくい。2色刷りのテキストであっても、上記のような理由から、あまり効果的とはいえない。
用語を答えさせるのではなく、用語の意味を理解した方が点数に結び付きやすい。つまり暗記ではなく、内容を重視するということ。
とはいえ、35条や37条書面のように、覚えることが密集しているところでは有効なのかも知れない。要は、使い方次第なのだろう。
──実力は数値化しないと測れない
テキスト至上主義の受験生は、実力を数値化させた方がよい。テキストを読み込めば実力は付くだろうが、それだけでは、今の実力がどの程度なのかを判断できないからだ。
だからこそ、過去問はできるだけ早い時期に手を付けなければならないのである。
テキストを軽く読みながら、過去問ベースで構成された一問一答を解く。その際、各項目ごとに一問一答の正答率も記録しておく。
最初は正答率が60%でも、繰り返しているうちに80%→90%と上昇していく。
これが数値化であり、可視化なのだ。こうやって正答率が段々と上がっていけば、モチベーションだって維持できるはずだ。
正答率が95%以上になれば、現実的に合格が視野に入ってくるようになる。
漠然とテキストを読んでいるだけでは、この数値が見えてこない。数値が見えないから、実力が付いているのかどうか不安になる。
実力が可視化されないまま直前期を迎え、満を持して解いた予想模試が20点とかだったら目も当てられない。
そうならないために、早めに自分の実力を知っておく必要があるのだ。まずは一問一答で自身の実力を測り、そこから限りなく100%の正答率に近付ける努力をする。
一問一答を終えたら、次は分野別過去問だ。
一問一答→分野別過去問
正答率を弾き出すことによって、今の実力が判る。立ち位置が把握できるようになる。
これこそが「実力を可視化する」理由であり、意義でもあるのだ。テキストだけでは可視化はできないし、実力が見えてこない。
テキストが不要だと言っているのではない。テキストと過去問はセットで考える。テキストだけの勉強がダメだと言っているのだ。
模試を除けば、一問一答の正答率、分野別過去問の正解率が日々の実力を知る尺度となる。
これらの正答率・正解率がともに95%を超えれば、実力が完成の域に近付いてきたといえ、合格圏内に入ったことを意味する。