──収録問題数を比較する
市販の「一問一答集」の中で、最も収録問題数が少ないものは、私が知る限り、TACの『一問一答セレクト600』であろう。その名の通り、全部で600問しか収録されていない(正確には610問)。
逆に、最も収録問題数が多いものは、住宅新報出版の『パーフェクト宅建の一問一答』だ。1,500問以上の問題が収録されている。市販の紙媒体で、これが一番なのは昔から変わらない。
この両者のどちらかを選べと言われれば、ほとんどの人は『パーフェクト宅建の一問一答』を選ぶと思う。ただ収録問題数が多いと安心感は得られるが、途中で挫折するリスクも高くなる。
その点、TACの『一問一答セレクト600』ならば、挫折するリスクは大幅に軽減される。しかし数が少ないので、その分不安が残る。
どちらも一長一短のように思えるが、途中で挫折する方がデメリットが大きいと私は考える。
600問という数は、1,500問の4割しかない。だから仮に、600問すべてをマスターしても、1,500問の4割だから、実力も1,500問をマスターした人の4割しか身に付かないと捉えるのだろうか?
──経験から導き出したもの
ここからは私と息子の健斗の経験で言わせてもらうが、最頻出の4割をマスターできれば、全体の7割前後をマスターしたに等しい。
例えば『一問一答セレクト600』で95%以上の正答率を叩き出した後、『パーフェクト宅建の一問一答』を初見で解いた場合、正答率が5割や6割で頭打ちになることはない。
私の経験上、悪くても7割前後の正答率が得られるはずだ。4→7の法則である。
推測で言っているのではない。すべては経験に裏打ちされたものなのだ。
つまりTACの『一問一答セレクト600』を完璧にマスターしたのなら、『パーフェクト宅建の一問一答』を7割抑えたのとほぼ同じことになる。
このことの意味は大きい。
私のブログ記事「勝利の方程式」でもそうだ。一問一答をマスターした後に、分野別過去問を解けば、一周目から正解率は8割を超える。分野別の半分が初見の問題であっても結果は変わらない。
駿台の『一問一答』は、数にして1,234問ある。対してLECの『ウォーク問』全3冊は、550題だから、一問一答に分解すれば2,200問となる。
1,234問は、2,200問の56%だから、5→8の法則により、駿台をマスターしていれば『ウォーク問』で一周目から8割以上の正解率が得られるわけだ。
4→7と5→8の法則は成り立つが、1→4や2→5や7→10はさすがに成り立たない。そのへんの見極めは必要となる。
──出題頻度の高いものから攻める
これこそ「一問一答」であれ、「分野別過去問」であれ、共通して言えることである。
TACの『一問一答セレクト600』の場合、各問題ごとに、重要度がA、B、Cに分けられている。もちろん最重要がAだ。パッとみた感じ、5割以上がA問題なので、まずそれをマスターする。
5→8の法則に当てはめれば、A問題をマスターすれば、この本を8割マスターしたのと同じである。
分野別のLECの『ウォーク問』も、頻度順に特A、A、B、Cの4段階に分けられている。
例えば、❶権利関係について。特AとAだけで5割以上あるので、まずはこれらを抑える。
やはり5→8の法則により、特AとA問題のみをマスターすれば、『ウォーク問❶権利関係』を8割以上制したのと同じことになる。
出題頻度の高い項目の問題は、総じて基礎的なもの多い。正解率が50%以上の問題は、ほぼ例外なく基礎的な問題ばかりだ。
そして宅建試験では、正解率が50%以上の問題をすべて取れれば合格できる。過去のデータがそれを証明している。宅建試験に限らないが、基礎が大事だと言われているのはそのためだ。
10年に一度、出るか出ないかといった出題頻度の低い項目の問題にこだわる必要はない。いや、こだわってはいけない。その分、出題頻度の高い問題をマスターすることに時間を割いてほしい。
Cランクの問題が解けなくても、AランクやBランクの問題がすべて解ければ合格できる。
それが宅建試験なのだから。