──年度別か分野別か?
過去10~12年の「年度別過去問集」をメインに使っている人(使う予定の人)は、一体どれだけいるのだろうか?
私は以前から、過去問は、LECの『ウォーク問』に代表される「分野別過去問集」をやるように訴えてきた。この考えは今でも変わっていないし、今後も変わるとは思えない。
昨年の3月にTwitterに参入した私は、半年以上にわたって宅建の受験生らと関わってきた。その経験から、過去問をやるにも年度別派と分野別派があることを知った。割合はほぼ五分五分だった。
しかし夏以降の模試で、高得点を叩き出していたのは主に「分野別過去問集」を使っていた人だ。それはもう圧倒的と言ってもいいほどだった。
──それぞれのメリット、デメリット
では、どうしてそんな偏りができたのか?
例えば業法。『ウォーク問』のような「分野別過去問集」を使っている人は、業法なら業法ばかりを集めた過去問を集中的に解くことになる。
営業保証金に関する問題なら、9つ連続で営業保証金の問題を解き、媒介・代理契約なら、11連続で媒介・代理契約の問題に触れるわけだ。重要事項の説明も11連続で問題が並んでいる(2020年版)。
このように、同じ項目の問題を連続してたくさん解けば、その項目の論点が嫌でも頭に定着する。これが「分野別過去問集」の最大の強みだ。
もちろん「年度別過去問集」にもメリットはある。
12年分の過去問集ならば、1日に1年分ずつ、12日で完結するように勉強計画を立てることも可能だろう。だがこの方法は、実力者が夏以降にやる分には良いが、初学者にはさすがに荷が重い。
また各年度、50点中で何点取れたかを採点して点数を出すことができ、それがモチベーションにつながるともいえる。年度ごとの合格基準点が明記されているので、大方の難易度も分かる。
ただし、各年度の問題を繰り返し解いても、本当に意味があるのは最初の点数だけだが、、
──特化型の勉強法
知識を定着させるには、一つ一つの項目に特化した勉強をしなければならない。
これを「年度別過去問集」で実践しようとすると、相当な工夫が必要となる。お目当ての項目の問題を自ら探し出し、一つずつ抜き出さなければならないからだ。にわかにできることではない。
だから年度別は、今日は令和元年の過去問(50問)を解き、明日は平成30年の過去問を解く。次は平成29年、その次は平成28年、、といったやり方で解いていくのがベターだと思う(初学者を除く)。
しかしこのやり方では、いつまで経っても一つの項目に特化した学習にはならない。全項目をバランスよく勉強するといえば聞こえはいいが、特定の項目を得点源にはしにくい。
これは、といった武器が作れないのだ。
それでも26~45の業法だけを取り出して、それを数年分まとめてやる勉強法ならば、いくらか効果はあると思う。ただ30番がどんな項目で、35番がどんな項目とか決まっているわけではない。
同じ30番の問題でも、報酬額の制限の場合もあれば、重要事項説明や37条書面、営業保証金や宅地建物取引士に関する問題の場合もある。
問題番号から何の項目かを推測することは、民法の特別法(借地借家法など)や、住宅瑕疵担保履行法、税・免除科目を除いてほぼ不可能といえる。
だからこそ、年度別ではなく「分野別」を用いて、項目ごとの強化を図らなければならないのだ。
そういう特化型の勉強をやらずに、各年度の問題を解いて一喜一憂する勉強法には「落とし穴」があると言わざるを得ない。
分野別ではなく「年度別過去問集」を用いて勉強している人(勉強する予定の人)に問いたい。
「37条書面に特化した勉強はいつやるのか?」
「開発許可に特化した勉強はいつやるのか?」
今現在「分野別過去問集」を使っている人、これから使う予定の人ならば、これらに特化した勉強はもう既にやっているか、今後必ずやることになる。
だから、これらの項目の問題も難なく解けるか、黙っていてもやがて解けるようになる。
初学者の方はもちろん、昨年「年度別過去問集」を用いて合格できなかったリベンジ組の方々も、今年は「分野別過去問集」を使うことをお勧めする。
近年の宅建試験は、項目ごとの掘り下げが深く、特化型の学習を取り入れなければ合格は厳しい。年度別では、特化型の勉強は困難なのだ。
それぞれの項目を、ローラー作戦のように連続して潰していく。そうやって各項目を抑えていく。年度別ではそれは叶わない。それが可能なのは、ウォーク問のような「分野別過去問集」だけである。
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