──答と解説だけでは足りない?
ほんの10年前までは、宅建は過去問だけで合格することが可能だった。ところが近年の宅建試験では、過去問だけでは不足するので「周辺知識の補充」が大切だという。
過去問を解くだけでは知識が点にしかならず、それを線や面に拡張しないと合格点がとれなくなっているという理屈だ。
ある程度は正しいと思うが、過去問をマスターすれば、本試験での高得点はムリでも合格点を超えることは今でも可能だろう。
しかしギリギリ合格点では心許ないので、周辺知識の補充自体は否定しないし、できるのなら補充はした方がよい。
では、その周辺知識の補充は、一体どのレベルまで必要なのだろうか?
過去問を解くたびにテキストを開き、該当する箇所をくまなく読み込む。この方法ならば、確かに周辺知識の補充は可能だが、如何せん時間がかかりすぎる。
それならばいっそのこと、最初からテキストをしっかり読み込んだ方がマシであろう。
ただ過去問を学習の中心におく勉強法には、勉強時間を大幅に削減できるというメリットがある。最初からテキストを丁寧に読んでいく学習では、これが失われてしまう。
あくまでも私の主観だが、一問一答なり、四択過去問を解いていく過程で、その解説部分をしっかり読み込むことである程度の周辺知識を補充することは可能ではないのか?
もちろん、それでも足りない場合は、テキストに戻って該当箇所を読み込む必要はある。でもそれは限定的だ。この方法ならば、それほど大幅な時間のロスにはならないはず。
また問題集と違って、テキストの利点は、図や表がふんだんに使われており、視覚的にも記憶に残りやすい。こういうところは活用した方が良いのかも知れない。
しかし初期の段階から、周辺知識にこだわりすぎるのも問題だ。例えば英単語帳、、
──最初から周辺知識を意識しない
2,000語ある英単語帳を覚えるときに、最初から見出し語以外に、派生語や関連語まで覚えていく人はどれだけいるだろうか?
それで覚えられればよいが、大抵の人は、その方法だと途中で挫折してしまうはずだ。最初は見出し語だけを覚え、それがマスターできたら次に派生語や関連語を覚えていく。
これが英単語をマスターする近道であり、王道だと思う。それと同じようなことが、宅建の学習にも当てはまるのではないか?
つまり最初から「周辺知識!」と躍起にならずに、軽くテキストを読んだら、すぐさま一問一答を解いて解説を読む。その方法でとりあえず最後まで通し、何度か周回させる。
初期の段階では、一問一答のマスターに全力を注ぐ。95%以上の正答率を達成するまでは、問題と解説の理解に終始する。その際、周辺知識のことは意識しなくてもよい。
▶95%以上が合格ゾーン®️
https://www.paparing-takkenshi.com/entry/2020/02/14/202428
資格スクールに通っている人ならば、カリキュラムを沿って授業を進めていくことで、自然と周辺知識も身に付いていく。資格スクールならではのメリットかも知れない。
そうでない独学者の方は、まずは一問一答を解き、その解説を理解することを優先する。この段階で、細かな周辺知識は必要ない。
独学者の方が周辺知識に手を付けるのは、一問一答→分野別過去問とコマを進めて、それらの正答率・正解率が95%を超えてからで十分。
95%を達成した時点で、すでに合格圏内にいるものと思われるからだ。周辺知識というのは、合格圏内にいる人が、さらにそこから何点の上乗せができるかどうかの問題だと思う。
──学習の順序とお勧め教材
【学習の順序】
独学者の方が学習する順序は次のとおり。
①テキストをさらっと読み、すぐさま該当箇所の一問一答を解く。答が合っていようが間違っていようが、解説部分はしっかり読む。何度か周回させ、正答率95%を達成する。
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②次に分野別過去問を解く。一問一答と同じように解説部分をしっかり読み込む。正解番号を覚えても意味がないので、その点は注意する。分からないところがあれば、テキストを辞書的に活用する。こちらも何度か周回させ、95%以上の正解率にもっていく。
⇩
③ここで初めて周辺知識の補充に取りかかるわけだが、以前にブログに記したように、周辺知識というのは難易度の高いものではない。これまでたまたま本試験に出題されなかっただけの常識レベルの知識に過ぎないのだ。
それでは、③の周辺知識は、どうやって補充すれば良いのだろうか?
先に述べたように、かなりの部分は、一問一答や分野別過去問の解説部分で補える。
それでも不足するものはテキストで補うしかないのだが、通常のテキストでは分量的に時間がかかりすぎる。これまで使用してきたテキストを最初から読み直すのも一案だが、それでもそれなりに時間はかかってしまう。
【お勧め教材】
そこで私がお勧めしたいのが、次の教材だ。
・宅建士 出るとこ集中プログラム(中央経済社)
この教材については、以前にブログ記事を残してあるので、そちらを参考にしてほしい。
▶宅建士 出るとこ集中プログラム
https://www.paparing-takkenshi.com/entry/2021/03/09/202703
ページ数も通常のテキストの約半分で、通読用としては最高の出来だと思う。
この教材以外にも、推薦に値する教材が2点あるので紹介しておきたい。まずはこれから。
・どこでも学ぶ宅建士 出るとこポイント超整理(建築資料研究社/日建学院)
一問一答→分野別過去問の後にやる教材としては、これもかなりの出来だと思う。通読用ではなく「まとめ本」だが、これまで95%に到達している人ならば、2週間あれば大丈夫。
過去問の抜けを確認できれば、レ点を付けるなり、ページに付箋を貼るなどして知識を補充していってほしい。全部で200ページ強しかないので、負担も少なくて済む。
最後はこれだ。市販本ではないので推薦しようかどうか迷ったが、知識の抜け・周辺知識対策として役立つことは間違いないだろう。
・宅建みやざき塾 超重要ポイントまとめ集
わずか107ページの中に、重要論点のほとんどが網羅されている希少価値の高いテキスト。
実は昨年11月に、宮嵜先生と名古屋で対談した直後に2020年版を郵送していただき、その内容の素晴らしさは熟知しているつもりだ。
市販本ではないので画像は控えるが、これを推薦している中学校教師のYouTube動画があったので、もし宜しければご覧いただきたい。
この『超重要ポイントまとめ集』に興味のある方は、下記のSTORESで購入できると思うので、ご検討していただければ幸いである。
なお2021年版は、7月頃までに販売開始予定とのこと。それまで待った方が良さそうだ。
https://stores.jp/hashtag/%E3%81%BF%E3%82%84%E3%81%96%E3%81%8D%E5%A1%BE